米国時間6月7日に開幕された「WWDC 2010」の基調講演において、Appleの創業者であり最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏はAppleはモバイルOSの名称を「iOS」に変更したと発表。 iPhone、iPod touch、iPadのいずれのOSも本質的に同じものだからだというのがその理由だ。
最新バージョン「iOS 4.0」は、4月に初めてプレビューが発表され、今回6月7日に「Golden Master Candidate」としてデベロッパー向けにリリースされた。これは、24日に出荷されるすべての新しいiOS 4搭載デバイスに搭載されるものと同じバージョンということを意味している。注目に値するのは、Appleがこのソフトウェアアップデートを、iPod touchを含む互換デバイスのユーザーに対して無償アップグレードとして提供する点だ。同社はこれまで、iPod touchの大規模なシステムソフトウェアアップデートについては有償としていた。
Jobs氏がデモを行ったiOS 4の新機能としては、電子メール受信ボックスの管理の改善とマルチタスク処理が挙げられる。Jobs氏はまた、同社の新しい「iAd」プラットフォームの詳細についても説明した。iAdは、デベロッパーが開発したアプリ内にAppleが提供する広告を挿入できるプラットフォームだ。新OSリリースの約1週間後にあたる7月1日から、すべてのiOS 4互換デバイスで使用可能となる。
Jobs氏は、新名称の「iOS 4」を発表するとともに、この新しいOSには1500もの改良点があると強調した。
マルチタスキング:ようやく、複数のアプリケーションを同時に実行できるようになった。これには、サードパーティー製のアプリケーションも含まれる。
電子メール:iOS 4では、複数のメールアカウントからのメールを、統合された1つの受信ボックスで受信できる。また、メールのやり取りをスレッド形式で表示することができ、それを一度に削除することも可能だ。
アプリケーション用フォルダ:1つのアプリケーションを別のアプリケーション上にドラッグすることで、フォルダを作成できる。これは、アプリケーション用ランチャーのようなものが作成できる便利な方法だ。フォルダの名前は変更可能で、アプリケーションをフォルダ上にドラッグすれば、いつでもいくつでも加えられる。
カメラ用ソフトウェア:カメラのハードウェアの解像度が3メガピクセルから5メガピクセルに向上したのに伴い、内蔵のソフトウェアが5倍デジタルズームと、タップによるフォーカス機能に対応した。
HDビデオ撮影:iOS 4の新機能として、毎秒30フレームで720pのHDビデオを録画できるようになった(LEDフラッシュを点灯させた状態でのHDビデオ撮影も可能)。iPhoneからワンクリックで共有できる。
iPhone用「iMovie」:iMovieアプリケーションを使用すれば、iPhoneでHDビデオを編集できる。マルチメディアメッセージングサービス(MMS)の送信、「MobileMe」や「YouTube」、電子メールによるビデオの共有もこのアプリからできる。ただし、「Facebook」には対応していないので注意しよう。また、パン&ズーム機能が使用できるし、エフェクトやテーマの追加や、画面の切り替えもできる。ビデオのタイトルに地理情報を追加することも可能だ。さらに、ビデオをタイムラインに直接記録し、ピンチ操作でスケールを変更したり、ドラッグ操作でビデオのトリムや編集を行ったりできる。エクスポートサイズも選択可能だ。iMovieの価格は4.99ドルで、「App Store」から販売される予定だ。
ビデオ通話:フロントカメラを利用して、ビデオ通話が可能になった。この機能は「FaceTime」と呼ばれ、フロントカメラを持つすべてのiOS 4搭載デバイスで、Wi-Fiを利用してランドスケープモードおよびポートレートモードで使用できる。現時点ではWi-Fiのみ対応だが、将来的には3G対応にすることをJobs氏は示唆した。
「iBooks」:6月中には、書籍にメモを加えたり、タップしてページをブックマークしたりできるようになる。また、PDFファイルを閲覧して読めるようになり、iBooksのブックシェルフ機能で書籍もPDFも選べるようになる。ブックマークとメモは、すべて目次に表示される。
「Bing」:Appleは、iPhoneの検索にBingを追加する。ユーザーは検索エンジンとして、GoogleとYahooによる検索に加えて、Bingも選択できるようになる。
企業向け統合機能:iOS 4では、データ保護、デバイス管理、ワイヤレスでのアプリケーション配布が可能になる。さらに、VPN接続のサポート拡大、および複数の「Microsoft Exchange」アカウント(および「Microsoft Exchange Server 2010」)のサポートも実現する。
「iAd」:この新しい広告プラットフォームでは、広告をアプリケーション内に組み込み、その動作をアプリ内に限定する。つまり、広告をクリックしたせいで、自動的にアプリからはじき出されてしまうことがなくなるわけだ。
各種追加機能:半分めくるようにしてページを切り替えるエフェクトや、地図のメモをドラッグできる機能などが、アプリケーション開発者向けに用意される。
発売時期:開発者は6月7日からiOS 4を入手できる。つまり、一般ユーザーまだ少し待たなければならないということだ。「iPhone 3GS」と「iPhone 3G」、そして(第1世代を除く)iPod touchについては、6月21日からiOS 4への無料アップグレードが可能になる。ただし、これまで搭載されていなかったフロントカメラが必要になるFaceTimeなど、すぐにはサポートされない機能も一部ある。
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