本場ドイツのエールが飲めるご機嫌な飲み屋です。
ここに一杯機嫌で次世代iPhoneを置き忘れてきてしまったのが、グレイ・パウエル(Gray Powell )さん、27歳。
写真の才能もあるパウエルさんはノースカロライナ州立大学を2006年に卒業し、今はAppleでiPhoneのベースバンドソフトウェア(電話をかける時に使うちっちゃなプログラム)のエンジニアを務めています。
それは去る3月18日のことでした。
パウエルさんは、カリフォルニア州レッドウッドシティにある良い雰囲気のドイツ産ビアガーデン「Gourmet Haus Staudt」で輸入物ビールに舌鼓を打っていました。
く~極楽! 飲み屋も最高なら、ビールの味はまた格別! 早速パウエルさんはフィールドテストで持ち歩いてた次世代iPhone(傍目にはiPhone 3GSにしか見えないようカモフラージュしてる)から、こう打ちました。
「ドイツ産ビールを侮ってたよ」
まさかそれが最後のFacebook更新になるとも知らず...。
そうなのです、こう打った直後、パウエルさんはうっかりスツール(背の高い椅子)の上に極秘の端末を置き忘れて家に帰ってしまったのです。アップルが製品リークにいかに厳しい態度で対処するか思うと、このビールのつけは...高くつきそうです。
(ほぼ)鉄壁のセキュリティ
アップル伝説の磐石なセキュリティは、これまで完璧に狙い通りの効果をあげていました。
工場からボケボケの写真がリークするとか、発売間際になってアップルが戦略的に提灯メディアに吹き込んだ情報が出るとかいう小物はありましたが、大きな魚はすべて一部の隙もなく守られてきたのです。
クパティーノにある本社敷地内ではガジェットもコンピュータも守るべき価値ある製品はすべて装甲ドアの影に置いて守ってます。ドアには数分置きにコロコロコードが変わるセキュリティロックをかけ、試作機はぜんぶ机にスライド錠で括り付けて。こういうラボの中でハードウェア、ソフトウェア、インダストリアルデザインを担当する小人たちはひっそりと働いてます。同じ製品なのに別々に分かれてせっせと。最終的にどんな製品になるかの大枠も知らされないまま。
社内の隅々ではアップルの秘密警察が目を光らせています。彼等のチームのミッションはひとつ、「 誰も余計なことは外部に話さないようにすること」。リークがあれば犯人を突き止め、ビルの外につまみ出します。必要とあらばロックダウン(抜き打ち検査で部署ごと外部との接触を絶って携帯を没収しマシンの中まで調べること)など恐怖戦術の行使も厭わないメン・イン・ブラック(黒服の男)。機密漏洩の最後の防衛線には、この彼等が控えています。アップルの最悪の悪夢を回避してくれる人材としてアップルは彼等を頼りにしているのです。戦略的製品の機密情報が漏洩すると、無料でやってもらえる何百万ドル分のマーケティングPRがブチ壊しになってしまいますし、製品のニュースサイクルにもアップルのコントロールが効かなくなりますからね。
でも人間、完璧なセキュリティなんてないんです。落し物だってする。人間なんだから当たり前です。例えば次世代iPhoneでも、落とす時は落とすのが人間なのです。
アップルが次世代iPhoneを失くした顛末 : ギズモード・ジャパン http://www.gizmodo.jp/2010/04/post_7015.html
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